ターミネーター ニュー・フェイトを観た感想 世界を時系列チャートで考察

ターミネーター REV-9の画像 映画

日本では2019年11月8日に公開された映画「ターミネーター ニュー・フェイト」。
ターミネーターの生みの親、ジェームズ・キャメロンがターミネーター2から28年ぶりに制作に復帰して、ティム・ミラーが監督となったこの作品はターミネーター2の正統続編とうたわれています。
原題は「Terminator: Dark Fate」

早速、映画館の4DXで鑑賞してきましたので感想と、自分なりの考察をしましたので紹介したいと思います。

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あらすじ

メキシコシティの自動車工場で働く21歳の女性ダニーが弟のミゲルとともに、ターミネーター”REV-9″に襲われる。彼らを守ったのは、同じく未来から送り込まれた強化型兵士のグレースだった。かろうじで工場から車で脱出するダニー、ミゲル、グレース。執拗に置きかけてくるREV-9を、ハイウェイで待ちかまえて居たのはいたのは、サラ・コナーだ。ターミネーターを宿敵として人生を送ってきた彼女は、REV-9とも激しい死闘を繰り広げ、「アイルビーバック」と言って、その場を去っていった。
再び合流したサラは、ターミネーターの情報の謎メールが誰かから届くと告白。グレースはその発信元がテキサス州のエルパソだと突き止め、3人はメキシコからの国境越えを決意する。しかし国境警備隊員になりすましたREV-9が彼らを指名手配していた。
そしてエルパソで、サラやダニーを待っていたのは、あの男だった……。

公式ページより

感想(ネタばれあり)

ターミネーター2から目新しいことはない

初めて観る人には非常に面白い内容だと思います。
ターミネーターの独特の世界がきちんと描かれていますし、これを見た後に旧作が見たくなると思います。アクションシーンも迫力満点です。

ただし、旧作を知っている人からすると目新しいところはなくターミネーター2の構成をなぞっているだけに思えます
敵となるターミネーターが液体金属で出来ている点も同じで、違いを出すために骨格部と液体部の2体に分離する設定になっていますが、攻撃の手数が2倍にできることや運転しながら攻撃できるといった程度で、メリットが伝わってきません。
最後にシュワちゃん演じるT-800と新型のターミネーターが穴に落ちていき、機能停止するところもほぼ同じで、液体窒素がEMPに変わっただけというイメージ。

冒頭でジョン・コナーがT-800によって殺害されるシーンも、特に抵抗もしないでアッサリと殺されてしまったので、「何で?」という疑問を持ってしまったけど、その点は世界と時系列について考察出来て良かったと思います

最後はシュワちゃんにもっていかれた感

ターミネーター2の正統続編ということで仕方がないと思いますが、T-800(シュワちゃん)が活躍しすぎたように思えます。
彼の役どころは冒頭にジョン・コナーを殺害し任務が完了することで目的を失ったが、ある家族に出会い、父親として子供を育ててゆく。
そしてREV-9との闘いではサポート役で中盤までは良かったのですが、最後でREV-9のトドメを刺したために目立ってしまったと思います。

浅はかかもしれませんが、最後の場面はダニー心境と成長のために、彼女自身がグレースからコアを抜き取る必要があるので、グレイスがSTOPするのは仕方ありません。
しかし、REV-9に抵抗されたダニーを最後の力でグレースが加勢しに行き共に倒すといったシナリオにすれば良かったのではないかと思いました。

4DXが最高に面白い

今回、私は4DXでこの映画を観てきました。
結果、最高に良かったです。

アクションシーンに対応して座席が揺れたり風が出たりと臨場感たっぷりです
カーチェイスやREV-9に追われているシーンでは本当に追いかけられている様な感覚になります。
殴られたり転がったりしたシーンでは椅子の下から突かれたような衝撃が来るので、まるで石や砂利の上を転がっているかのようでした。
飛行機での空中アクションでも上下にローリングするので上昇・降下シーンも自分が飛行機に乗っているかのように感じることが出来ました。

そして何よりも「疲れない」ことです。
ターミネーター ニュー・フェイトはアクションシーンも多いですが、シリアスな会話や作戦会議、移動など静かな時間が合間にけっこうあり、動きと休みがちょうど良い間隔でした
以前にジュラシックワールドを4DXで観た時は、とても疲れたのですが、この映画は全く疲れることはなく、4DXが最適だと思いました。
一緒に観に行った妻も疲れなかったと言っていましたので女性にもお勧めできると思います。

考察(ネタばれあり)

 

世界と時系列

物語の主軸はサラ・コナー視点となるため、正史は現在進行形のサラ・コナーの世界と考えて良いと思います
つまり、パラレルワールドが存在してもよく、いま彼女が生きている世界が正史ということ。
ターミネーター ニュー・フェイトはパラレルワールド③に入ったところです。
※今回のニュー・フェイトが正統な続編ということで、T3,4,再起動の歴史は除外します。

オリジナルの世界

オリジナルの世界は1997年8月4日にスカイネットがシステム始動します。
その後、1997年8月28日に審判の日(核戦争)を迎えます
ロボットが人類を駆逐しようとしたが、サラ・コナーの息子ジョン・コナーがリーダーとなって形勢逆転し、2029年7月11日にスカイネットは敗北する
リーダーとなるジョンを生む女性サラ・コナーを殺害するためにターミネーターT-800を1984年5月12日を送り込み、時を同じくしてカイル・リースもサラ・コナーの護衛として送り込まれる
このあとターミネーター1の物語が始まる。

ターミネーター1の世界(パラレルワールド①)

ターミネーター1の世界はパラレルワールド①に属すと考えられます。
ジョン・コナーを身籠ったところまではオリジナルの世界と同じだが、破壊されたT-800の腕とチップをサイバーダイン社が回収したところで歴史が変わってしまったと考えられます。

なぜなら、この事実が起きたことにより、回収された腕とチップをもとに開発されスカイネットは始動して審判の日が訪れるとともにさらに新型のT-1000が開発され、送り込まれることになったからです。
(そうでないと毎回T-800が送り込まれ、歴史が繰りかえすことになる)。
そして歴史は進み、ジョン・コナーの指導のもと2029年7月11日にスカイネット人類に敗北する
ここでスカイネットは新型のT-1000を1994年へ送り込む。ジョン・コナー地震によりT-800を子供の頃のジョン・コナーの護衛の為に送り込み、ターミネーター2の物語が始まる。

ターミネーター2の世界(パラレルワールド②)

ターミネーター2の世界は目のパラレルワールド②に属していると考えられます。
ジョンは生きのび、サイバーダイソン社は破壊され、マイルス・ダイソンも死亡することで、スカイネットは開発されず起動しない。
そして審判の日は訪れず、人類は核戦争を回避することができた
その後ターミネーター ニュー・フェイトの物語が始まる。

ターミネーター ニュー・フェイトの世界(パラレルワールド③)

ターミネーター ニュー・フェイトはパラレルワールド③に突入したと考えます
審判の日が回避されたが、先に送り込まれたT-800にジョン・コナーは殺害されてしまう。
オリジナルの世界では送り込まれたのは一体のみであることから、このT-800は一つ目のパラレルワールドで送り込まれたものと考えられます

この世界の未来ではレギオンというAIが覚醒し、人類を排除しようと核攻撃を行っている。
人類抵抗軍のリーダーであるダニーを殺害するためREV-9というターミネーターが2020年へ送り込まれた。
そして2042年からダニーを守るためにグレースが送り込まれて物語が続く。

これらを絵にまとめると次のようになります。

ターミネーター年表

 

人間と機械のあり方について

伏線

最初の方に人間がロボットにとって代わられるという描写があります。

ある朝、ダニーは弟のミゲルを起こしに行きますが、メキシコ人なので当然スペイン語で会話をしています。
ダニーは英語も流暢ですが、ミゲルはそこまでは話せないし、勤勉では無い様子が描かれています。
そして勤務先である、家の近くにある自動車部品の工場にへ出勤してみると、ミゲルの作業工程のところにアーム型のロボットに置かれており、工場長からミゲルへ呼び出しがかかっている。つまり「作業者としてのミゲルはもういらない」という解雇宣告が待っている状況です

これはまさに現代の状況を反映しているのではないでしょうか。
メキシコは自動車関連会社も多く工場がたくさんありますが、自動化が進んで人手がだんだん不要となってきています。
私も製造に関わる仕事をしていますが、コストや効率もさることながら偶発するヒューマンエラーと違い、ロボットやプログラムは修正すれば同じミスは二度としません

しかし、人間はミスだけではなく偶発的な閃きや打開策を見つけることも出来ます
そういったところがレギオンの判断として、人類を脅威とみなしているではないでしょうか。

強化人間にみる機械との融和

ダニーを護衛するために送り込まれたグレースは強化人間でした。
アメリカの国境警備隊に捕まった後にX線検査で体の中を見られたときに、臓器は全く人間のものではない状態が映し出されていました。
作中では「私は人間」と発言しており、実際そのように描かれています。
冷静かと思えばダニーに対して感情的になる部分もありました。
逆にT-800は人間的な感情を学習してきましたが、自分の家族に対してサラ・コナーに聞かれたときに「人間ほど愛することはできない」と答えています。
つまり、人間としての感情を持っているか否か?がロボットとの違いなのでしょう

高齢の方や体の不自由な人が補助機械を付けた状態で、色々なことに活躍できる未来が人間と機械のあり方だと思いますし、むしろ普通の人よりも社会に貢献できるのではないかと思います。

強い女性像

今回のターミネーター ニュー・フェイトでは女性の強さを描かれていました。

まず最初に、サラ・コナーは母としての強さが描かれていたと思います。
息子であるジョン・コナーを守り切れなかったことに対する絶望、ターミネーターへの復讐を続けて来たけれど、T-800に対する最後の理解とダニーがジョンであると考え、最後はダニーを自分の娘のように考えるようになり、最後は行動を共にしていました(エンディングでは子供のグレイスを見るダニーを見守っています)。

ダニーは平凡な女性が未来を勝ち取る!という思いと成長する強さ。
平凡な私がなぜ?という思いや「未来より今が大事」と言っていた状態から、目の前のことではなく復讐でもなく、守りたいそして未来を勝ち取りたいと考えるようになります。
そしてその成長には母親ポジションのサラ・コナーの助言、グレイスの発言と行動・死によるものでした。

グレースは何としても目的を達成するという信念の強さ
守るべきは自分を救ってくれた母ダニーへの思い

3人の強さが合わさって、この映画のエンディングが出来上がっていると思います。

まとめ

ターミネーター ニュー・フェイトについて、感想と考察をまとめると次のようになります。

・ターミネーターらしさは健在
・目新しいことはないが、安心して観ることが出来る
・時系列の年表にまとめると4つの世界があり、パラレルワールド③にいる
・4DXで観るのがお薦め

皆さんの参考になれば幸いです。

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